2020年に小学3年生から必修化になるなど、日本の英語教育は変化しつつあります。
今回は、日本の英語教育の現状や7つの問題点、日本で実践的な英語を身につける方法について解説していきます。日本の英語教育について不安を抱いている方は、ぜひ参考にしてください。
日本の英語教育の現状とは
文部科学省によれば、日本の英語教育は「英語によるコミュニケーション能力を育成する」ことが現状の大きな考え方です。言語だけでなく文化に対する理解を深めたり、積極的にコミュニケーションを測る態度を育成したりといった目標が設定されており、小学校でもALTなどの指導者を用いた英語の授業などが行われるようになりました。
ただし、現状の日本人の英語力は世界113カ国中87位、アジア23カ国中15位と依然として低いままです。小学校からの英語必修化が始まり4年目となりますが、2019年の世界53位からさらに落ちている結果となります。つまり、日本の英語教育は現状では問題点があると定義づけられるのです。
日本の英語教育の問題点
それでは、日本の英語教育が挙げられがちな7つの問題点について見ていきましょう。
- 受験が目的になっている
- 和訳が前提になっている
- 音声学習が少ない
- ネイティブ英語を聞く機会が少ない
- 英語を実践する機会が少ない
- 教師も英語が苦手なケースが多い
- 英語の学習時間が足りない
受験が目的になっている
日本の英語教育は、コミュニケーションではなく受験が目的になっている傾向が強いです。海外の学生と比べると、日本の学生は文法や単語力は強くリスニングやリスニングが弱い特徴があります。なぜなら、高校受験や大学受験の割合はリスニングよりもリーディングの配点の方が高いケースが多く、受験対策を目的に英語を勉強する日本人は、リーディングの勉強を重視しがちだからです。
もちろん英語にはリーディングも大切ですが、政府が掲げる英語によるコミュニケーション能力を高めるにはリスニング力やスピーキング力は欠かせません。日本人の中には、英語は理解できるものの自分の気持ちを英語にできないという人も多く、英語での発信が少ない日本の英語教育の問題が浮き彫りとなっています。
和訳が前提になっている
日本の英語教育は、英文を和訳しながら学習するのが一般的です。しかし、活きた英語を効率的に身につけるためには、英語を英語のまま理解することが大切です。英語と日本語は文法が大きく異なるため、和訳することでリーディングのスピードが遅くなったり、会話がスムーズにできなかったりなどのデメリットが生じます。
実際、TOEIC600点を超える方の多くが、英語を日本語に和訳せずに英語のまま理解しているといわれています。日本の英語教育では、英語を英語のまま理解する訓練がないため、正確な和訳にばかり気を取られてしまい、活きた英語を話すことができなくなってしまうのです。
音声学習が少ない
日本の英語教育は、音声学習が圧倒的に足りません。文部科学省が発表している「小学校の英語教育実施状況調査」によると、話すことにかける時間の割合が、10段階のうち3〜4しかない学校がほとんどです。音声学習が少ない結果、発音などに自信がなく英語を話せない人が増えていることが予想できます。
実際、日本の英語教育では発音はあまりフォーカスされていません。たとえば多くの学校ではアルファベットの読み方から学んでいきますが、実際の発音とは大きく異なるものもあります。さらに英語の前に習うローマ字などとも混同し、実際のネイティブ発音とは違ったインプットをすることが多いのです。
ネイティブ英語を聞く機会が少ない
音声学習の少なさには、ネイティブの英語を聞く機会の少なさも挙げられます。日本の英語教育においてALTも採用されていますが、メインは日本人の英語教師です。日本人の英語教師の中で発音がネイティブ並みの人は少なく、英語の授業でネイティブの英語を聞く機会は多くありません。
日本語と英語は音の数が大きく異なり、日本語が108音あるのに対して英語は1,808もの音があると言われています。そのため、日本の英語教育においてネイティブ英語を聞かないと、実際にネイティブの英語を聞いても理解しにくかったり、発音に活かしにくかったりといったデメリットが生じるのです。
英語を実践する機会が少ない
日本の英語教育は、文法理解や単語暗記、リーディングやライティングに重きを置いているため、英語を実践する機会が少ないのも問題点のひとつです。
英語でコミュニケーションを行うには、自分の気持ちを伝えることが大切です。しかし、日本の英語教育には覚えた英語をさまざまなシチュエーションで実践する場が少ないため、日本人の英語力は低いといえます。
教師も英語が苦手なケースが多い
日本の英語教育において、教員すべてが英語が得意なわけではありません。文部科学省の「英語教育実施状況調査」によると、全国の中学校でCEFR B2レベル(英検準1級)相当以上を取得している教師の割合の平均値は、約42%と50%を下回っています。中にはCEFR B2レベル相当以上の教師の割合が20%を下回る都道府県もあり、日本の英語教師のレベルは高いとはいえません。
日本の英語教育では高いレベルの英語に触れる機会が少ないため、日本人の英語力も低いことが予想できます。教師の英語レベルによって、触れられる英語の質が大きく異なるのも問題点だといえるでしょう。
英語の学習時間が足りない
日本人が英語を習得するには、2,400~2,760時間程度かかるといわれています。しかし、小学校から高校までの日本の英語教育にあてられる時間は1,200時間のため、英語の習得には1,200時間以上足りません。
日本人が英語力を高めるためには、学校以外に英会話教室や留学などで英語を学習する必要があるといえます。
日本の英語教育をカバーする方法
日本の英語教育にはさまざまな問題点があり、結果として日本人の英語力は諸外国と比べても低いままです。しかし、日本にいながらでも勉強法を工夫すれば、上記で挙げた問題点をカバーできます。
とくにおすすめの方法は、以下の3点です。
- 英語のアウトプットを増やす
- 英語の勉強時間を増やす
- ネイティブやバイリンガルと英会話する
英語のアウトプットを増やす
日本の英語教育におけるアウトプット不足をカバーするためにも、日常生活で英語のアウトプットを増やしましょう。英語でのアウトプット力がなければ、たとえ英語を理解できたとしても自分の気持ちを英語で伝えられません。
英語はコミュニケーションツールのひとつであることを理解し、自分の気持ちを表現できるような英語力を身につけましょう。
英語の勉強時間を増やす
学校での英語教育だけでは、英語の勉強時間は足りません。英語を習得するためには、学校以外にも英語の勉強時間を増やすことが大切です。
たとえば、週に2回1時間英会話教室に通うと、1年で約104時間の勉強時間が増やせます。それを10年続けると学校での勉強に1,000時間以上プラスされるため、英語の習得に必要とされている2,400時間に大きく近づきます。
ネイティブやバイリンガルと英会話する
活きた英語を学ぶには、ネイティブやバイリンガルと積極的に英会話を行いましょう。学校にALTがいる場合は、自ら声をかけて話すのも有効な手段です。ALTとの接触が少ない場合は、ネイティブやバイリンガル講師が在籍する英会話教室を利用するのもおすすめです。
ネイティブやバイリンガルと英会話することでリアルな英語を聞き分ける耳を養うことができ、発音や表現にもつながります。
まとめ
日本の英語教育には、勉強方法や時間の不足など、さまざまな問題点があります。実際日本人の英語力は諸外国と比べると低く、日本で英語を学ぶには現状の日本の英語教育に危機感を持つことが大切です。今回紹介した3つの方法を実践することで、さまざまな問題点をカバーしながら英語を学べます。
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